3/27 「ドラえもん のび太と鉄人兵団」
第7回目です。
本作は今までで一番色が異なる作品だと感じました。
伏線の回収が少し難しくラストは何とも深〜い内容となっています。
本作からタイトルが「のび太”の”」ではなく「のび太"と"」になっているのが地味にポイントですね。"の"と"と"の違い...考察するにはまだまだ勉強が足りないためそれは後回しです、、、
・監督:芝山努
・脚本:藤子不二雄
・公開年:1986年3月15日
・上映時間:97分
*あらすじ
空き地にて。のび太はスネ夫にラジコンロボットを自慢され攻撃される。
その悔し紛れに「自分は乗れるようなロボットを作ってやる」と宣言。
家に帰ってドラえもんにロボットを作ってくれるように泣きつく。
難題を突きつけられ困ったドラえもんは頭を冷やすためどこでもドアで北極に行ってしまう。のび太は帰ってこないドラえもんを追いかけるように北極の地に足を踏み入れると、なんと空から大きな部品が落ちてきた。そのまま部品を家に持ち帰ってみると次々と空から部品が落ちてくる。
どうやらこれらを組み立てるとでっかいロボットになりそうだ。
家の庭では組み立てることができないため、誰もいない"鏡面世界”でロボットを組み立てることにした。
脳となるコンピューター部分だけ揃わなかったためドラえもんが未来デパートで購入。
人が乗れるこのロボットを"ザンダクロス"と名付けて、しずかちゃんも鏡面世界に誘い込み楽しいひとときを過ごした。ところが操縦内部のあるボタンを押すとミサイルが発射してしまった。なんと攻撃用の兵器が装備されていたのだ。
恐れた3人は3人だけの秘密としもう鏡面世界には立ち入らないことに決めた。
一晩明けると謎の少女"リルル"がのび太の元を訪ねた。
少女はロボットを探しているようだったためドラえもんに無断で鏡面世界に案内。
のび太たちが組み立てたザンダクロスはジュドーという名の少女のロボットだったのだ。
元の世界に戻るとリルルに鏡面世界に入るためのお座敷釣り堀を貸す約束をとりつけられてしまい持っていかれてしまった。
誰にも言えない秘密を抱えてしまったのび太は元気がなく浮かない顔。
のび太はある晩、部屋の窓から流れ星のようなものが見えて向かってみるとそこに貸したはずのお座敷釣り堀があり何かが送り込まれているのを発見する。
心配して付いてきたドラえもんに事の顛末を全て話した。
鏡面世界に入ってみるとリルルが地球人捕獲計画について話しているのを糸なし糸電話で盗み聞きする。リルルはメカトピア星からきたロボットで地球人を捕獲するためにこれから送り込まれる鉄人兵団の誘導係だというのだ。
リルルに見つかってしまった2人はどうにか現実世界に逃げ込んだ。さらに次元震による爆発で鏡面世界への入り口は一時閉鎖され安心する。
ところが現実世界にはザンダクロスの脳になるはずだったものが残っており鉄人兵団が地球に送り込まれることを知ってしまう。
ジャイアンとスネ夫に相談をしたところ、ザンダクロスの頭脳を改造してこちらの味方につけることをスネ夫が発案。頭脳の改造をし、今度はしずかちゃん家のお風呂からドラえもん・のび太・ジャイアン・スネ夫・ミクロスの一行は鏡面世界に入ることにした。
遅れて鏡面世界に乗り込んだしずかちゃんはリルルが怪我を負って倒れているのを発見する。
しずかちゃんの献身的な看病で回復するのだがリルルは人の心を持っておらず、裏切りを働いてしまう。
一方でしずかちゃん以外の一行は鉄人兵団をどのように誘き寄せるか考えたところ、ドラえもんがザンダクロスの脳から信号を出して、巨大な湖に誘き寄せてそこから鏡面世界に誘導することをひらめく。見事誘き寄せ作戦は成功し人間のいない鏡面世界に鉄人兵団が来襲し次々と都市を破壊した。
裏切りを働いたリルルと鉄人兵団が合流し気持ちの変化があったリルルは人間を奴隷にすることをやめるように隊長に懇願するが、隊長の怒りを買い基地に連行されることとなってしまう。
連行される前にドラえもんたちがリルルを助けた。そこでリルルは葛藤をする。
その後鉄人兵団はこの世界が人間がいないニセの世界だと理解してしまう。
どうにか地球を守るためドラえもん・のび太・ジャイアン・スネ夫は大多数の鉄人兵団相手に抵抗をしようと試みる。
一方で状況の打開策を考えていたしずかちゃんたちはミクロスの一言でメカトピアの起源・3万年前にタイムマシンで向かい、メカトピアのロボットをつくった博士に会いにいった。ロボットの始祖となったアムとイムが変われば未来も変わるかもと考えたのだ。
博士に掛け合いロボットの改造をお願いするが博士は老齢による体の衰えのため改造を途中で断念してしまう。そこでリルルが自ら改造を買って出た。
改造の先には何が待っているのか、のび太たちは助かるのか、、
今までにないラストが待っている。
*解説
本作は冒頭で述べたとおり異色の作品になっています。
のび太がドラえもんに泣きついて願いを叶えてもらいアドベンチャーがスタートするという王道の流れではありますがずっと不穏な空気が漂っています。
不穏要素の原因としては、いわゆる新たに仲間に加わることとなるシックスマン的な存在のリルルが味方なのか敵なのか最後までわからないこと、同様の立ち位置であるミクロスも後半になるまでキャラが見えてこないこと、悪の根源が最後までわからないこと、等が挙げられるかなと思います。
故にラストの意外性に驚きを隠せません。リルルのキャラクターだからこそ感動させるものがありますね。また、しずかちゃんの健気な献身性と信じ続ける芯の強さも相待って一層感動を誘います。
でも感想としてはちょっと見続けるには疲れるし内容を把握しづらい作品ではあるかなと思いました(^^;)世界を行ったり来たりしていたのも原因の一つではありますかね、、
本作の見どころとしては下記を取り上げたいと思います。
①本作よりのび太の「ドラえも〜ん」でオープニングがスタート!
→この流れは今後続くのでしょうか。映画版では定番ですね!
②リルルの掴めないキャラクター
→今までこんなに謎めいたキャラがいましたでしょうか...
③ミクロスの憎めないキャラクター
→ドジで怖がりで最後まで何も成し得ないのですが後半の存在感が際立っています。
④都市の再現クオリティの高さ
→ドラえもん作品には珍しく実在の建造物が出てきます。前作でもそうでしたがアニメーションのクオリティ向上が随所に見られます。
⑤オープニングとエンディングの粋な演出
→オープニングの空中から見た構図の伏線をエンディングで見事に回収しているのが粋です!
*使用したひみつ道具
・どこでもドア
・タケコプター
・かるがる手袋
・逆世界入り込みオイル
・お座敷釣り堀
・サイコントローラー
・スペアポケット
・糸なし糸電話
・空気砲
・ほんやくコンニャク
・金属探知チョーク
・メカ救急箱
・コンピューター睡眠薬
・瞬間接着銃
・ショックガン
・改良型山びこやま
・探し物ステッキ
・スモールライト
・ひらりマント
・即席落とし穴
・ビッグライト
・タイムマシン
22個です。ちょっと多めですかね。
のび太が自分のポケットからタケコプターを出したり、しずかちゃんが自分でタイムマシンを操縦したりと自然とみんなが道具を操っているのが気になりました。
*主題歌
・オープニング:ドラえもんのうた
・挿入歌:ポケットの中に
・エンディング:わたしが不思議
鉄矢さんがまた作詞にとどまってしまいました...
ポケットの中に、は使用率高いですね〜
-おわり-